天然香料と合成香料の違いと特徴
先日、知人から「天然香料と植物精油とエッセンシャルオイルってどう違うの?」「天然のほうが安全なの?合成は良くないの?」との質問を受けました。以前にもお客様から同様の質問をいただいたことがありましたので、今回は「香料」について詳しく書きたいと思います。
香料の分類
香料は大きく分けて「天然香料」、「合成香料」、そして天然香料と合成香料を調合して作った「調合香料」の3つに分かれます。
天然香料とは
天然香料とは動植物から抽出・圧搾などで得られた精油や樹脂のことを指します。天然香料のほとんどは植物由来のもので、中でも植物から抽出された精油を植物精油と言います。ちなみに、エッセンシャルオイルは植物精油を英語に言い換えたものです。
動物由来のものでは、ジャコウジカから得られる「ムスク」などが有名ですが、近年では動物保護の観点から合成品が使用されています。その他、チキンや鰹節、エビなどの抽出物が動物性天然香料として利用されています。
天然香料のメリット
天然香料のメリットは、何といっても「香りの良さ」です。自然が生み出した複雑な香りは本当に素晴らしく、天然と合成の両方を扱う中で、やはり天然の香りの良さを実感します。
天然香料のデメリット
しかし、天然香料には「不安定」という大きなデメリットがあります。同じ植物でも産地によって香りが全く異なることがあり、同じ産地でも年や気候によって香りが変わってしまいます。
悪天候による収穫量の減少で価格が高騰することも珍しくありません。そのため、商品に利用するために安定的に仕入れることが必要な場合、天然香料を使用することはリスクが大きくなります。
合成香料とは
合成香料は大きく分けて「単離香料」と「(純)合成香料」の2つに分けられます。
- 単離香料
- 単離香料とは、天然精油などから特定の成分を取り出したものを指します。例えば、ハッカ油から取り出したメントールなどです。
- (純)合成香料
- (純)合成香料は主に石油、石炭、パルプなどの工業から得られた原料で合成されたものを指します。
合成香料のメリット
合成香料のメリットは、何と言っても品質が安定しているところです。気象条件などに左右される天然香料とは異なり、ばらつきがなく常に同じものを得ることができます。また、天然香料と比べて安価に入手でき、価格も比較的安定しています。
合成香料のデメリット
合成香料のデメリットは「香りの不自然さ」です。香水のように"良い香り"を作るうえでは合成香料が大活躍しますが、香りの強さや鼻に残ってしまう感じが気になることが多く、天然香料のような香りの柔らかさはなかなか得られません。
純粋に「香りを楽しむ」という用途であれば合成香料でも問題ありませんが、アロマテラピーなど楽しむ以外の要素を求める場合には、合成香料では難しいところがあります。
調合香料とは
調合香料とは、天然香料と合成香料を組み合わせて作られた香料のことを指します。このタイプの香料は、天然の豊かな香りと合成の安定性を兼ね備えたものとして、多くの製品で使用されています。
調合香料のメリット
- 香りの多様性
- 天然香料と合成香料を組み合わせることで、非常に多様な香りを作り出すことができます。これにより、特定の目的や製品に合わせた独自の香りを作り出すことが可能です。
- 品質の安定性
- 合成香料を含むことで、天然香料単独では得られない品質の安定性を確保することができます。これにより、製品ごとの香りのばらつきを減らし、安定した品質を提供することができます。
- コストの削減
- 合成香料の使用により、コストを抑えることができます。天然香料のみを使用するよりも、コストパフォーマンスが高くなる場合が多いです。
まとめ
天然だから良い、合成だからダメ、というわけではありません。それぞれの特徴を理解したうえで、上手に生活に取り入れていくことが大切です。今回は「天然香料」と「合成香料」の分類について書きましたが、香料には「フレーバー」や「フレグランス」などの分類もあり、非常に奥深いものです。
香料の世界は広く、まだまだ書きたいことがたくさんあります。また機会がありましたら、他の香料についても紹介したいと思います。