森林の樹木が自らを守るために、葉や幹から発散している揮発性物質をフィトンチッドと言います。フィトンチッドは防カビ・防菌・防虫効果の他、空気を浄化・消臭する働きもあるため、森の中で動物の糞尿や死骸が強い悪臭を発したりすることはありません。
また、大きな捉え方をすれば、植物が作り出す二次代謝産物をフィトンチッドと呼ぶこともあり、植物の力を利用するハーブやアロマ、漢方も広い意味では同じジャンルと言えそうです。
二次代謝産物とは・・・生物が体内で作り出す化合物のうち、生物の細胞成長、発生生殖には関与しない物質を指します。
フィトンチッドを応用した中和消臭は、従来の芳香剤などとは異なる、自然の力を応用した人にも環境にもやさしい消臭方式です。
フィトンチッドの効用
- 排泄物臭、生ゴミ臭、タバコ臭、汚水臭などを除去します。フィトンチッドが空気中のにおい物質と接触して消臭反応を起こし、無臭の安定物質に変化させます。
- 森の中で深呼吸すると気分が落ち着き、さわやかさを感じます。これは森林浴効果と呼ばれているもので、森林の樹木が放出しているフィトンチッドが、脳内のアルファ波(α波)を増加させるからです。
脳波 周波数 心身状態 ガンマ(γ)波 30ヘルツ 不安・興奮・イライラ ベータ(β)波 13~30ヘルツ テキパキ物事を処理している時・緊張
(人間が目覚めている時の通常の状態)アルファ(α)波 7~13ヘルツ リラックス・瞑想・集中
没頭・カン・ひらめき・リフレッシュシータ(θ)波 4~7ヘルツ 疲労・うたた寝・ぼんやり・睡眠 デルタ(δ)波 0.5~4ヘルツ こん睡・熟睡 表のようにアルファ波の効果として、気分を落ち着かせるリラックス効果や集中力のアップ、想像力の発揮が現れます。
- 日本では昔から木材が建材として使われてきました。これは、多湿な日本におけるカビなどの建物への影響を抑えるためです。また、ヒノキのタンスが古くから愛用されているのは、その防虫効果によるものです。
さらに、押し寿司・酒樽・寿司屋のヒノキのカウンターなどにみられるように、フィトンチッドには細菌の増殖を抑制する働きがあります。
このようにフィトンチッドにはカビや細菌の増殖を抑える働き、食品への防腐・殺菌、家ダニなどへの防虫効果があり、古くからその力が利用されてきました。 - 消臭だけでなく、フィトンチッドは優れたアメニティ効果があります。先に述べた防カビ・防菌のほかに、オゾン・NOx等の有害物質を低減させます。また、シックハウス症候群の原因ともいわれる、ホルムアルデヒド等の室内汚染物質も中和してくれます。
- 植物がフィトンチッドを発散するのはなぜ?
- 人間にとって有益なフィトンチッドですが、植物はなぜこのような物質を作り出すのでしょうか?動物と違って移動できない植物は、フィトンチッドによって自らの生命を守っていると考えられます。
- 誘因効果:受粉したり種子を運んでもらうため、香りによって昆虫や鳥を引き寄せます。
- 忌避効果:昆虫や鳥が嫌がる香りや苦味を出し、摂食されないようにします。
- 抗真菌・抗菌効果:カビや細菌の発生・増殖を防ぐ役割をします。
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- フィトンチッドの働き